今週の学術講演会は、
NTT Docomo執行役員であり東北支社の代表取締役である羽深龍二さんが
「携帯電話の技術と最新動向」
という題目で講演をしてくださいました。
最初は携帯電話の市場動向を海外と国内を比較しながら説明して頂きました。
世界的に携帯電話の販売台数・普及率が伸びている中で、
その通信方式の内訳は、
世界においては2G(第2世代)であるGSMが80%を占め、
W-CDMA(第3世代)は5.5%に過ぎません。
一方日本ではW-CDMAが57.7%で、
CDMAも含めると85%以上が3Gということでした。
通信方式の面から見ると、
日本の携帯電話業界は世界でも屈指であると言えます。
しかしこれは国際競争力の低下にも繋がると思います。
日本の携帯電話市場は通信方式の違いやシムロックによって、
世界の中で孤立していると思います。
そのことによって海外の様々なメーカーの端末に侵食される機会も少なく、
より大きな市場である「世界」に対しては少し疎くなっていると思います。
羽深さんのおっしゃるように、
今後進展していくSuper3Gや4Gにおいては、
日本主導でアジアを中心として全世界に広めていく必要があると思います。
次にお話頂いたのは通信インフラの高度化についてです。
無線ネットワークにおいては、
4Gの前にSuper3G/LTEを導入する意義、
そしてSuper3Gが普及することによって実現することについて説明して頂ききました。
Super3Gでは現行のHSDPAの最高値14Mbpsの約20倍である
300Mbpsが最高値になるということでした。
最低でも100Mbpsを保証し、平均で150Mbpsくらいになるのではないか
ということでした。
有線で現在普及しているFTTHでの最高値は100Mbpsなので、
それよりも3倍速くなります。
(その頃には有線ももっと速くなっているはずですが。)
これには東北大学も研究をしているMIMOを用いるということでした。
MIMOは複数のアンテナを用いてデータの送受信を行う方法です。
最終的には4Gで5GMbpsを目指すということでした。
そのためにはアンテナだけでなく、
アルゴリズムの開発なども重要ということでした。
コアネットワークにおいては、
All IP Networkを目指すということでした。
電話もIP化していくのが自然な流れだと思います。
しかしIPにおいてはセキュリティが重要な問題だと思うので、
どれだけオープンな通信を許すのか考えていく必要があると思います。
携帯端末については、
最近は確かにUIを重要視する傾向が強いと思います。
しかもiPhone風なタッチパネルが人気なようです。
端末の機能的にも頭打ちな感じはあるので、
UIやその他のおまけ機能に力を入れて差別化を図っているのだと思います。
(
余談ですが、
iPhoneにしろMacBookAirにしろ、
いつも新しいUI、デザイン、コンセプトを打ち出してくるAppleはすごいと思います。
)
AppleやMicrosoftやGoogleが携帯電話市場にプレイヤーとして参加してきている中で、
日本の携帯電話市場は、
オープンなネットワークとクローズドなネットワークを両立させていく必要があると思います。
現在は残念ながらほとんどがクローズドなネットワークですが、
少しずつオープンな通信もできるようになっています。
現代は情報格差社会です。
情報社会にうまく馴染めない人もたくさんいますし、
情報通信の現状に満足できない人もいます。
セキュリティの面から言っても、
全ての人に対して完全にオープンなネットワークを提供するのは危険だと思います。
クローズドも残しつつ、国際競争のためにもオープンを成長させていく。
その両方をサポートできるようなインフラやサービスを作っていくことが、
これからのキャリアや端末メーカーに求められることだと思います。
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