2008年5月29日木曜日

星久光さんの学術講演会

今週の学術講演会は、
株式会社NTTデータの執行役員・
ヘルスケアシステム事業本部長の星久光さんが、
「システムを作る、仕組みを作る 〜医療IT化を例として〜 」
という題目で、システム開発における方法論、
医療分野におけるIT化、
日本の社会や今後のIT産業における
課題などについて講演をしてくださいました。

星さんは東北大学大学院のご出身なので、
私たちの先輩にあたります。

非常に広い知見で様々な分野からの話題を盛り込まれてお話ししてくださったので、
対象とするシステムの構造、仕組みや課題などを
全体像として捉えることができました。

また、その広範囲にわたる知識に驚かされ、
リーダーになる人物は全体を見渡すことができなければいけないのだと
改めて思いました。


最初にお話ししてくださったのは、
システムエンジニア(SE)の仕事についてです。

クライアントの業務内容を理解した上で
情報システムを設計、構築、管理まで扱うような業者である
システムインテグレータ(SI)
の役割と重要性について説明して頂きました。

重要なのは、クライアントが実際に欲していることが何なのかを
分析することだと思います。

そして、予想する結果を分かり易く説明できることだと思います。


次にお話ししてくださったのは、医療分野におけるIT化についてです。

最近、救急患者のたらい回しについて報道されることが多いことを背景に、
病院側の受け入れ態勢や救急医療システムにおける問題点、
政府の施策、今後確立すべきシステムの概要について説明して頂きました。

現在の医療は病院完結型の医療です。
しかし病院の中だけではなく地域全体のシステム、
つまり地域完結型の医療としての仕組み作りが必要だというものでした。

そのためにも地域連携電子カルテをうまく導入できるかが
重要なポイントだと思います。

電子カルテ作成のための専門職があってもいいくらいだと思いました。


次にお話ししてくださったのは、ネットワーク化についてです。

医療分野に置けるネットワークの導入状況を、
金融分野と比較しながら説明して頂きました。

金融においては扱うものが主に数字のため、
コンピュータの導入にさほど難は無いのですが、
医療分野において扱うのは病名や治療法などの専門用語であり、
大量の文字を扱うこともあるので、
システムを作ることが難しいということでした。

実際、医療分野においてはネットワーク化以前の問題で、
現在ようやく医療保険のレセプトのオンライン化が
進み始めているところだそうです。

また、インターネットを利用するとしたら
非常にセキュアな通信を行う必要があるので、
ネットワークのセキュリティの技術も重要なものだと思いました。

そしてヒューマンネットワークについては、
私たち理系の人間はあまり得意ではない分野ですが、
社会の一部を担うシステムを考えるとき、
ヒューマンネットワークも非常に重要な要素だと感じました。


最後にお話ししてくださったのは、これからのIT産業についてです。

これからIT産業に関わる私たちにとって重要なのは、
「利用者の視点」「社会インフラの視点」「Globalな視点」「システムは人」
という4つの姿勢であり、
それによって全体最適の実現を目指すというものでした。

星さんのおっしゃる通り、
ITで社会の変革を実現することが
これからの私たちの役目だと思います。


星さんの講演を聴いて、
現在のシステム開発の状況や問題点を知るとともに、
これからその社会に飛び込んでいく私たちに必要な姿勢や要素を
学ぶことができました。

少しでも将来社会に貢献できるように、
これから自分を磨いていきたいと思います。

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